貨幣価値に対して、物価が上がることがインフレと呼ばれます。インフレが続くことで、100円で買えていたジュースが、200円出さないと買えなくなるという状況が起きたりします。

中でも過度なインフレ、具体的には「3年で100%以上の物価上昇」が起きた場合は「ハイパーインフレ」と呼ばれます。

南米のベネズエラという国をご存知でしょうか。世界一の原油埋蔵量を誇り、かつてはオイルマネーによりとても豊かな国でした。日本よりも裕福な国だったはずのベネズエラは、いまや世界で有数の貧困国となってしまいました。

2018年、ベネズエラでは1年で物価が1300倍になるという異常なハイパーインフレが起きました。100円で買えていたジュースが13万円出さないと買えないという状態に陥ったのです。これは中央銀行が公式に発表している数字ですが、実態はより高いインフレが起きていたという調査も多々あります。一時は100万倍になったという研究者もいます。それは、100円のジュースが1000万円になるという異常な状況です。国民が貧困に陥るのも当然です。

では、なぜベネズエラでこのような異常なインフレが起きたのでしょか。

最大の理由は、ベネズエラ政府が税金で得た額を遥かに超えるお金をばら撒いていたという事実があります。国の経済が変わっていないのに、通貨供給量だけを極端に増やし続けていたので、お金の価値は下がって当然です。

ただ、原油価格が高い間はこの問題は表明化しませんでした。国の経済は原油に依存しており、その他の産業がは殆ど発達しないまま月日が流れていきます。

しかし、原油価格の下落がトリガーとなり、ベネズエラは資金不足に陥ります。輸入もできず、物不足は避けられません。その頃には、闇レートの取引も活発になっており、ベネズエラの通貨ボリビアの信用は暴落しました。その結果、このようなハイパーインフレが起きてしまったのです。

前提や背景が全く異なるので、日本でベネズエラのようなハイパーインフレが起きる可能性は極めて低いと思います。ただ、日本でもインフレ経済に転換するという見通しもあり、備えておいて損はありません。

次回は、インフレ対策の具体的な方法を紹介したいと思います。